2017年12月11日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(7) Surreal Bijoux - Mdvanii 7

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ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ」(Surreal Bijoux - Mdvanii)の翻訳です。

パリのラペ通り

ララと私は「ビリーボーイ・シュールレアル・ビジュー」BillyBoy* Surreal Bijoux と名付けたアトリエ、オフィス、ショールームをラペ通り6番地にオープンした。そこは、かつてスキャパレッリがパリで彼女のキャリアをスタートさせたラペ通り4番地のすぐ近くであった。私たちの新しいアドレスは、カルティエ、ブシュロン、メレリオ・ディ・メレー、ヴァン・クリーフ&アーペルといった高級ジュエリー店が立ち並ぶ通りであるという素晴らしいロケーションだった。コスチューム・ジュエリー・デザイナーが、あえて、この特権的な地域に店を構えることは、かなり厚かましい。

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仕事部屋は2階にあり、古いパリ様式の階段を上って行かねばならなかった。何の装飾もない、只4つの部屋だけ。しかし、それを手に入れたことは信じられないようn幸運であり、私にとって、スキャパレッリからの時空を超えたウィンクのように思えた。私たちは、これらの部屋を黒と白のリノリウム・タイル、少しぐらつくアールデコ・テーブルとイスなどで飾った。僅かにアンティークな雰囲気で、変打法的。又、初期のイケアの家具も、何故なら、それらの黒い机は、スキャップ(スキャパレッリのブティック)のスタッフがかつて使用していたものを連想させたからだった。(渡辺純子 訳)
次回へ続く。

トップの写真は、ビリーボーイが1980年代後期に制作した「メエ・ウエスト」と名付けられたネックレス。

(c) BillyBoy* and Lala 2017. All rights reserved.

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http://www.fondationtanagra.com

ミドヴァニイに関する公式サイトは以下のものです。

http://www.mdvanii.ch/en/mdvanii


お知らせ
ビリーボーイの肉筆絵画「未来の内観的ミドヴァニィ女性たち」THE INTROSPECTIVE MDVANII WOMEN OF THE FUTURE のセールをいたします。
ご興味ある方には、カタログをお送りいたしますので、当ブログ管理人までご連絡ください。

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2017年11月25日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(6) Surreal Bijoux - Mdvanii 6

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ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI) より、第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Surreal Bijoux - Mdvanii) の翻訳です。

カラフルで皮肉たっぷりのガラクタがインスピレーションを与えた

私たちの仕事には、様々なものからの影響が満ちていた。多くの1960年代ポップ・カルチャーとの関連がある。例えば、ファニーフェイスの飲料キャラクターのグーフィ・グレープとチュウチュウ・チェリー、トロール・ドールズ、ガンビィとポーキーズ、スー博士と彼の世界など。又、素晴らしくキュートなハスブロ玩具社の「ペティーナ」(プードル犬のファッションドールで、イブ・サンローランのモンドリアンドレス等お洒落な衣服を着ていた)、そして「マイ・リトル・ポニー」のフィギュアたち。ハンナ・バーベラ漫画ショー・スタイルの厚紙でできたドールハウス「フリンストーン・ハウス」の陽気でキャンプな雰囲気。そして、ルーブ・ゴールドバーグ・スタイルのネズミ取り罠ゲームは、私たちの創作品に奇妙な新しい方法の型を運んできた。様々な場所、全ての時代、どこででも、至る所からのカラフルで皮肉たっぷりのガラクタは、等しく、私たちに創作の霊感を与えてくれたのだ。

世界的に賞賛されていた馬を専門とした畜産家であったアレク・ヘッドに、光栄にも、ノルマンディーにある彼の有名な馬小屋でランチをご馳走になった時、私の創作魂は、ヘルメスのものとはどこも似ていない一風変わった女性騎手(サーカスで馬に乗って曲芸する芸人)に関連するイメージを捉えた。

これらの美しい物事の全てが、熟考され、冗談をかわし、そして、それらは愛情に満ちた、持続性の高い方法によって、あらゆる性質の物の中へ形作られ、容易には理解できない思考のひとつの大きな混合の中へと包み込まれたのだった。シックというテーマは、又、遊びの中からやって来て、変化するイメージの辛辣なトリップの中に歪められて包含される。私たちの創作にとって、大き過ぎる、飾り立て過ぎる、奇妙過ぎるものは何もなかった。私たちの作品を見て、最初のショックが消えた後、人々は私たちの仕事を理解してくれたように思えた。それが本当であろうと、何であれ、私は幸せだった。多分、この時代は、このようなクレージーな物が、世界中のアーティストと職人たちによって作られ、価値を認められた最後の時代ではなかったかと、私は思う。今日、ダークな考えが全ての領域で幅を利かせているが、私たちの作品は、昔も今も、非常に大きなポジティブな波動を送っている。なぜなら、それらは幸福と愛によって作られているからだ。そこには、時々、悪意や悪魔との関連があるかも知れないが、それは、ちょっと、仄かにスパイスを使ったようなものである。(渡辺純子 訳)
次回へ続く。

トップの写真は、"Safe Sex" (セーフセックス)と名付けられた1987年〜1988年の作品。ニューヨークのバーニーズの展示会の為に制作したもの。

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ビリーボーイのコスチューム・ジュエリー作品5点が、先日、クリスティーズのオークション「ジュエリーとしてのアート」に出品され、ロンドンのプレスで大評判でした。以下のサイトをご覧ください。

http://www.townandcountrymag.co.uk/style/accessories/christies-launches-art-as-jewellery-sale

http://www.vogue.co.uk/article/a-warholian-tale-of-art-as-jewellery

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2017年11月16日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(5) Surreal Bijoux - Mdvanii 5

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ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Surreal Bijoux - Mdvanii)の翻訳です。


オーブンでジュエリーを焼く

我が家のオールド・ファッションのキッチンで、私たちはジュエリーを作るための真新しい実験をしていた。それは、より装飾品やオブジェ、グリ・グリに関連させた方法によってであった。最初、プラスターを使った。そして、それを、画家スーラが絵を描いていた地として知られるパリ近郊のブージヴァルのイル・ド・ラ・ジャットにあるチャリティー・ショップ「エマオ」で、最初の道具として購入したスイスのルレーブ・オーブンで焼成することを試みる。その結果は、私たちが意図したものにはならなかったが、焼き上がったプラスターは何とも可愛らしく、面白い質感が出ていた。このオーブンでジュエリーを焼くということが、プレスや、私たちの製品のファンから魅惑的だと注目され、ジュエリー制作についての一種の神話が生まれた。

私たちは、ジュエリー、オブジェ、像、そして装飾品といった各ジャンルの間を漂うような、言葉で言い表せない変わった一点もののアイテムを作り出すために、人造宝石やラインストーン、木、偶然見つけたもの、ガラス、金属、やや高価な石、そして貴石など様々な素材を使った。私たちは、クリニャンクールの蚤の市によく通ったものだ。この驚嘆すべき場所には、全ての種類のビンテージ・ビーズが沢山あり、ルーマニア人の姉妹によって売られていた。その品揃えの多種多様性にはビックリさせられる。又、ビーズと小石は、ゴブレット(小さなプラスチックのカップ)に一杯で幾らというように売られていて、お客はゴブレットに好きなビーズや小石を選んで入れる。あっという間に、誰でも、この宝捜しの為にコインを使い果たした。私たちはジャムのジャーを持って、そこに頻繁に出かけて行き、それに一杯になるまで宝物を買い漁ったものだ。因みに、このジャムのジャーには、過去数十年を通して使っていた貴重なストックが入っていて、それらを組み合わせることは本当にスリリングであった。そしてそれは、私たちの創作における重要な役割を担ったのである。(渡辺純子 訳)
次回へ続く。

トップの写真は、"Rakham Le Vert" 「緑色のラクハム」と名付けられた様々なビーズや小石をつかったペンダント・ネックレス。「ラクハム」とは、フランスの人気コミック「タンタン」に登場する海賊の名前。海賊の刀をイメージした作品。

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2017年11月05日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(4) Surreal Bijoux - Mdvanii 4

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ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Surreal Bijoux - Mdvanii)の翻訳です。

「モダニズムはとっくの昔に死んだ - ビリーボーイの構成主義・超シュールレアリスム宣言

当時、私は、西洋社会の一員である私という人間の本質が、着用する人を不吉なことから守り、光と愛の極致を求める人を励ます「グリ・グリ」やお守りや魔除けの利用の仕方を忘れてしまったと感じていた。そして、そういう力を持っているのはお守り自体ではなく、その物を作る精神なのだと、私は信じた。そしていまでも相変わらず、そう信じている。私たちは不思議な力を持つ。私たちは、それらの願望を伝えるエネルギー体なのだ。

私は同時に、又、私たちが生きているこの時代、1980年代初頭が、「モダニズム」の誤った考えによって鈍くなっている事実に気づいたことをララに訴えた。1910年代に生まれ、1940年代に絶頂を迎えた「モダニズム」の概念は、既に何十年も前に死んだということを誰も語っていなかった。そうではないか?コスチューム・ジュエリーは、安っぽい金メッキによる決まりきったやり方で作られるようになり、鈍感で平凡なものになった。そう、私は、人々にそのことが理解され、よく知られるように、私の制作方針をより明らかにし、魔術崇拝的な装身具やお守りのコンセプトを作ることを試みる。私は、自分自身が「ザ・サマーランド」にいて、それらを身に着けているのを想像した。こうした想像の中で、私は実に子供っぽく、真剣だった。しかし、それは私の心の底からストレートに湧き出て来るものであった。

私はシュールレアル・クチュールで、相変わらずアンティークの服を着て、ヴィンテージ・ドールを収集していた。又、私は相変わらず、いつもフォーカスしている全ての興味あることをやっていた。それらは「ビリーボーイの構成主義・超シュールレアリスム宣言」の拡張として。しかし、又、それを発展させたバージョンであり、私の人生において最初の本当の愛を込めたものとして。それは私にとって素晴らしいことだった。なぜなら、私が作った物にコンタクトしてきた人々の正しい理解が、それはあたかも、世界が一歩一歩良い方向へ変化して行くように感じられたからだ。又、私は、ソウルメイトであり、偉大な変革者であるパートナーを持っていた事実に、スーパー・ハイな状態になっていたと思う。それは、私にとって、これまで一度も経験したことのない感覚であった。(渡辺純子 訳)
次回へ続く。

トップの写真は、ビリーボーイが1986年に制作した「ベトラヴィサン」"Betteravissant" と名付けられたネックレス。意味は「うっとりするようなサトウダイコン」。

◎只今、クリスティーズのオークションで、今回の写真の作品を含むビリーボーイのコスチューム・ジュエリーが数点出品されています。アーティストが作ったコスチューム・ジュエリー特集であり、パブロ・ピカソ、カンディンスキー、サルバドール・ダリ、マックス・エルンスト、その他の作品も。
以下のサイトでご覧になれます。

https://onlineonly.christies.com/s/art-jwellery/billyboy-b-1960-4/50152

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2017年10月30日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(3) Surreal Bijoux - Mdvanii 3

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前回に引き続き、ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Surreal Bijoux - Mdvanii)の翻訳です。


「ザ・サマーランド」と「グリ・グリ」

私とララが共同制作で生み出した創作品は、私にとって儀式のオブジェと言って良かった。各作品が、私の個人的な何かを意味しており、それらが世間で人気を呼ぶかどうかは本当に分からなかった。私は、それらを「グリ・グリ」(お守り、又は魔除け)と呼び、魔術崇拝や神智学、最高善、そしてカバラなどへの私の考えと結びつけていた。これらの精神的イデオロギーは、私の母の深淵な思考に影響されたものであり、私はそれに感謝している。又、「ザ・サマーランド」(The Summerland)という概念も彼女から終わることなく聞かされ、それは私の脳内に完全に植えつけられた。そして、この「ザ・サマーランド」とは「安楽の偉大な源泉」であると私は解釈した。そして、それが、私に絶えず、多くの死んだ友人や仲間があの世で平安な居場所を見つけられるようにと祈りの行動を起こさせたのだ。
「グリ・グリ」は象徴的な創作品であり、明らかに私にとって重要な表現であった。それらは、ネックレスやブローチ、ドレスやチュニックに変化させられているけれども、人々の身体に付けられたとき、魔法のような不思議な力が吹き込まれる。又、私は、それらを魔術崇拝やカバラ、そして最高善の、明るくカラフルなポップアート・バージョンだと見做していた。

私はララの為に、とても古いラインストーンで彼の名前を形作り、ベルエポック風の金メッキをした三日月型の鏡をつけたブレスレットを作った。それは幸運と愛のお守りとして、魔法の鋳造を施したものだった。彼が、それを身に着けた時、多くの人々がどれほど注目し、自分にも作ってもらえないかと尋ねてきたのには驚かされた。果たして、それがお世辞だったかどうか分からないが、あまりに多くの人々が、そのブレスレットを欲しがったように見え、私は当惑したものだった。しかし、そうした人々の反応は、私の作品が、俗悪な商業主義とイコールである一般大衆にアピールしたというサインではないと理解し、嬉しく受け止めた。

その当時の私の年齢や生活を想い起すと、私の感情はしばしば極端であり非常に白黒がはっきりしていたように思う。しかし、同時に、私は理解するのは容易いことではないが、物事には、もっと深い内面があることに気が付いていた。つまり、人生のグレーの領域にある沢山の物事に気付けないままではいたくなかったのだ。そして、自分の感覚の中間的なグレーの領域の全てを見ようと試みる。人が考え、行う全ての微妙な側面について考えること、それは日々に魅力的な発見をもたらした。私はララに聞いたり協力を求めたりする必要もないくらい自然に一緒に、私は地球上の暮らしの基本的な日々の事柄、例えば、決まった時間に食事を摂ることや、誰かを居心地良く泊めることなどについて、より多くを理解するようになった。そして私は、完全に多くの素晴らしい、新しい方法に順応して行った。(渡辺純子 訳)
次回へ続く。

トップの写真は、「ザ・サマーランド」をテーマにしたミドヴァニィ。The Summerland Mdvanii 2017.

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2017年10月18日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(2) Surreal Bijoux - Mdvanii 2

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前回に引き続き、ビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリ研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、第15章「シューレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Surreal Bijoux - Mdvanii)の翻訳です。

エイズの恐怖

真に私が考えていたのは、自分の仕事が何よりも、誰が思うよりも、高いところを目指すということだった。ララと共に私は一層やる気に満ちて、まるで一心同体となって邁進した。それは、初めて味わう満足と挑戦と幸せの深い感覚だったと思う。万事がうまく行って、面白く、心配事など一つもなかった。

只、勿論、私は相変わらず精神安定剤の「バリアム」を飲んでいたし、時折リッツやハリーズ・バー、マレー地区の新しいゲイ・エリアにある新しいゲイ・カフェの片隅で、カクテルを飲んで酔っ払いフラフラになっていた。それは私にとって本当に素晴らしい時間だったが、それは同時に、エイズという新しい災難の恐怖と隣り合わせでもあった。そして私は、この時代の中心的な話題であった破壊的な恐ろしい病気の存在に、シュールな雰囲気を感じていた。又、この病気について大部分を義理の弟から教えてもらい、その逃れ難い苦境のドミノ倒しの様な直進する時間を感じた。私はララに「直進する時間が、その忌まわしい時間自体をすっ飛ばして進んで欲しい」と言っていたものだった。というのも、エイズという時代を震撼させた病気についての多様なレベルの理解の仕方が評価されなかったのと、その窮状がとても直進的で永続的に思えたからからだ。シックな黒い服を着てディスコへ踊りに行っていた人たちが、急に喪服の黒い服を着るようになるという、直進的な終わりのない測り知れない悲しみに、本当に絶望を感じた。ディスコは消滅した。耐え難い突然の死。沢山の最愛の友達や、各分野の魅力的な専門家だった知り合いたちが次々に死んでいった。そして、それらは私の心に絶えることのない制作上の主題を作った。

ゲイ活動家である私の義理の弟、ディディエ・レストラード(ララの実弟)、彼は私がエイズ撲滅運動の活動に参加しない理由について不平を言った。私は、体力的に、彼がしていたような闘いに耐えられないことを知っていたからであり、しかし、全く別の方法で、私はそれをやっていたのだが。彼には、私が能天気な人間に見えたようで、それが彼をイライラさせたようだった。後に彼は、数冊ある著書の一つの中で、当時、私といかに付き合うか葛藤していたことや、彼が兄のララを敬慕していたこと、そして私がララを幸せにしていたことなどが、とても明るく語られていた。次回へ続く。(訳 渡辺純子)

トップの写真は、ビリーボーイが1989年に制作した「デム・ボーンズ」(Dem Bones)と名付けられたネックレスとイヤリングとブレスレットの3点セット作品。

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2017年10月12日

シュールレアル・ビジューからミドヴァニィへ(1) Surreal Bijoux - Mdvanii 1

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昨年12月に発刊されたビリーボーイの自叙伝的スキャパレッリの研究書「フロッキング・ライフ」(FROCKING LIFE SEARCHING FOR ELSA SCHIAPARELLI)より、当ブログの読者の皆様に最も関心を持っていただける第15章「シュールレアル・ビジューからミドヴァニィまで」(Chapter 15 Surreal Bijoux - Mdvanii) のオリジナル・テキストを、ビリーボーイの許可を得て、今回より38回に渡って翻訳することにいたしました。

パートナー、ララとの出会い

私は1978年にニューヨークからパリに移住し、そこでパートナーのララと出合った。そして、彼との関係によって得られた新しい確信に力を得て、パリでの新しい生活を構築して行った。絵画や彫刻、アクセサリー、衣服のデザインを、過去のフィーリングをはるかに凌ぐスリリングな熱情で再開する。市場向けの製品を作ることは念頭になかった。なぜなら、そこには私の非常に強い自己解放の意図があったから。私は又、私が作る衣服と絵画を結合させた混成物を作るプロセスを研究することに喜びを感じていた。そして、この時代の私の仕事はアートのようなものだと自信をもって言い切れると感じ始めていた。作った衣服を引き裂き、それに絵をかき、それらを叩き切って、あたかも遺伝子組み換え操作をしたように縫い合わせる。それらを一緒にすることにより、異様なエンジェルが生まれ、私はそれを無鉄砲に着ていた。それらは時に、私の身体を覆いきれなかったこともあった。そんな私の姿は、メディアによく知られるところとなり、いくつかの論拠のある言葉とともに、私が無頓着な屈託のない人気者だということが発信され、それは驚いたことに世界中に伝えられた。又、当時のプレスの表現に従って言えば、明らかに私は周りの世界を全く気にしない、人形やアート、オートクチュールの収集に陽気に遊び騒ぎ、自分自身をエンジョイしている人間だと。これは半分当たっている。私は、ついに、正常な、自分に良く適応させたと思える生活を手に入れたのだ。しかし、それは決してニルバーナとか、おとぎ話の類のものではなかった。ララは、人々の私に対するリアクションを観察するのを楽しんでいたと言う。又、彼は、メディアが私のことを「漂っている男」というのを聞くのが好きだった。それは本当だ。だが、メディアが私の思いのたった一つの真実さえも捉えたは一度もない。只、彼らは、私がフランスのアートとオートクチュールのアイコン的な過去に関連する魅惑的な人たちと一緒にいるのを見ていた。

ところで、皆さんが信じようが、信じまいが、私には際限のない治療を必要とする生まれつきの持病がある。それは、私が殆どの人と決して心を分かち合えない何かの問題を抱えていることだ。それが原因で、私は無関心で無頓着な人間だという評判がたったのだと思う。プレスは又、しばしば私について、パリのアンティーク・フェアや三大蚤の市であるポルト・ド・クリニャンクール、ポルト・ド・ヴァンヴァス、ポルト・ド・ミロメンシルに足しげく通っていることを伝えた。そして沢山のプレスがパパラッチ・スタイルで、パリとその郊外にある全ての素晴らしい古物商や中古品店で、ひっそりと埋もれている、例えば珍しいファブリックとレースでできた聖杯などの掘り出し物を見つけようと夢見ている私を写真に撮ろうとした。こうしたプレスの私への注目と関心は、当時の私には少々愚かしいものに見えた。それは私の気持ち次第であったが、私は浮かれ騒ぐか、あるいは又、単に彼らの行為に侵略的なものを感じ、私を不快にさせた。

比較的短い期間であったが、ララと私は一緒にアートワークと装身具類を制作した。そして、私たちは本物のカップルと認められ、私たちの作品は世界中の有名人を含むあらゆる種類の人々から求められるようになった。しばしば私は、本や雑誌で読んだり、映画のスクリーンで見た人々と実際に会うようになり、そうしたことにワクワクしたものだった。そして彼らから、私が何をしているかとか、私が他の誰にも似ていないという事が語られた。そんな事どうでもいいのに。ゲェー、もう聞き飽きた。私が、こうした回想に少しばかり苛立たされるのは、自分のユニークさがそれ以上のものであると思っていたからではなく、この時代の思潮に明らかに無関係なことをしていたからだった。それは、大抵の人が「奇妙な」と呼ぶものだった。しかし、それは、私たちの創作的な結合から生まれたものであったから、誰かにとって奇妙に見えたかもしれないが、私には何の意味も持たなかった。私たちの創作的な仕事は、私が過去にダリの信奉者として自分の魂の奥底へ旅した時よりも、この上ない幸福な美へと向かっての学習であった。私の無関心さにも拘わらず、ララは人々やプレスのリアクションを楽しんでいた。
当時のメディアが伝えた私についての報道が本当に価値あるものであったかどうか、私には言えない。実際、私は時代を気に留めないし、社会とその虚飾から遠く離れて漂っていたと、明言できる。人々が私のことをどう見ようが、私は自分の外の世界からはっきりと距離を置いていた。私は、これまで生きてきた世界、これまでの私のプライベートな生活から脱出するために、大量の仕事が必要だった。(渡辺純子 訳)

次回へ続く

トップの写真は、ビリーボーイが1985年に制作した「エデン」と名付けられてコスチューム・ジュエリー作品。
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2017年04月01日

ベッティーナ・グラツィアーニを偲んで In memory of Bettina Graziani

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1940年代〜1950年代、フランスのファッション・モデルとして知られたベッティーナ・グラツィアーニ Bettina Graziani が一昨年、2015年3月に亡くなっていたことを(享年89歳)、ビリーボーイの新刊 "FROCKING LIFE Searching for ELSA SCHIAPARELLI" を読んで知った。

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彼女は、1925年フランス・ノルマンディー地方に生まれ、 1940年代からファッション・モデルとして活躍、1950年代にはジバンシーのミューズとして一躍脚光を浴び、20世紀初のスーパーモデルの一人としてファッション史にその名を刻んだ。又、プライベートでは、パキスタンの王子アリ・カーン Aly Khan との大恋愛と悲劇(1960年、自動車事故でカーンが死亡)が知られている。因みに、ビリーボーイの本には、彼女がパブロ・ピカソからも求愛されていたことが書かれている。

このベッティーナはビリーボーイの大親友であったが、そもそも、彼女がビリーボーイの才能とキャラクターを愛し、まるで母親のように彼の活動を応援していた。そしてミドヴァニィが誕生した時は、そのコンセプト・カタログやポスターの為に、自らポーズを取り、ミドヴァニィ・ファッションの魅力を広めることに一役買ってくれたという。確かに、最初のカタログのファッション・イラストからは、ベッティーナの面影が感じられ、パリ・オートクチュールの魅惑が伝わってくる。

私がベッティーナに会ったのは一度だけである。それは、1990年代初頭の12月、パリのシェルシェ・ミディ通りにあったミドヴァニィ・ブティックでビリーボーイと打ち合わせをしていた時のこと。突然、ドアが開き、長身の素敵なフランス人女性が入ってきた。肩までかかる赤味を帯びたブラウンのカーリーヘアーに真っ赤な口紅、黒いタートルネックのセーターの上に艶やかな黒いレザーのジャケット、同じく黒いレザーのミニスカートを穿き、黒いストッキング、手にはシックで使い勝手のよさそうな、やや大きめのハンドバッグを持っていた。すぐさまビリーボーイから「ベッティーナだ」と紹介される。彼女は、びっくりしている私に、手を差し出し握手を求めてきた。普通、トップモデルとか女優と言えば、人を寄せ付けないような近寄りがたい雰囲気を持っているものだが、ベッティーナは違った。初対面にもかかわらず、昔から知っている親戚のオバサンの様な親しみやすい、とてもチャーミングなオーラを全身から放っていて、私はすぐにリラックスすることができた。私たちは何を話したか殆ど覚えていない。しかし、忘れられない一瞬があった。それは、ビリーボーイが私たちを写真に撮ろうとした時である。ビリーボーイがカメラを向けた途端、それまで、くだけた姿勢で会話を楽しんでいたベッティーナが、瞬時にして、左手を腰に当て、右手を左足の太ももの上に置き、両足をエレガントに整え、見事なポーズを決めて、カメラに向かい嫣然と微笑んだのである。それがトップの写真。完全無欠なトップモデルのポージングであった。どんな状況においても錆びることのないプロ意識に脱帽。見習いたいと思った。
ベッティーナといたのは僅か30分位だったと思う。それにも拘わらず、今でも、彼女のカッコ良さとチャーミングな顔、温かい眼差しが脳裏に蘇ってくる。

ベッティーナ・グラツィアーニのご冥福を心よりお祈りいたします。

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2017年01月01日

スキャパレッリを敬愛したビリーボーイのバイオグラフィー FROCKING LIFE - Searching for Elsa Schiaparelli

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        HAPPY NEW YEAR 2017

新年あけましておめでとうございます。

目出度いニュースをお知らせいたします。
ビリーボーイの新しい本 FROCKING LIFE - Searching for Elsa Schiaparelli が、ニューヨークの有名出版社であるリゾーリ社 Rizzoli から、昨年12月に発刊されました。
内容は、10代の頃、スキャパレッリ・ファッションの魅力に目覚めたビリーボーイの自伝であり、スキャパレッリに関するユニークな研究書でもあります。ファッション、アート、シュールレアリスム、人形、人生哲学、そして面白いエピソードが綴られています。分厚い本ですが、27章に各テーマがまとめられていて、文章が多い割には読みやすいのが特徴です。

15.5cm×24cm 384頁(内8頁写真) ハードカバー 39.95USドル 

写真は少ないですが、内容の面白さにより充分カバーしていると言えます。装丁の美しさも大きな魅力。
ご興味ある方は、Amazon で検索してみてください。

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ララ Lala からの年賀状です↑ 彼のチャーミングなイラストが上記の本にも掲載されています。

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2016年11月12日

パリジャン・オートクチュールへのオマージュ 「ヘルメスの羽根」ミドヴァニイ  "Ailes D"Hermes" Mdvanii Homage to Parisien Haute Couture

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深まりゆく秋、シックでエレガントな飛び切りのカクテル・スーツに身を包んだミドヴァニィ。本作品は、作者ビリーボーイがパリ・オートクチュールへ敬意を表して制作したもの。「ヘルメスの羽根 Ailes D'Hermes」と命名され、1993年秋冬コレクションとして発表された。貴重な高級素材を用いたオートクチュール仕立ての衣装とグラマラスなメーキャップが特徴であり、世界中のミドヴァニィ・ファンを虜にした。

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彼女が着ているのは、鶯茶色(褐色がかった黄緑色)のシルクタフタで作られ、白地にシルバーの錦模様が入ったシルクの布地(1910年代にポール・ポワレが実際に使用したというイタリアの有名生地メーカー、ビアンキニ・フェリア社のもの)による衿とカフスが付いたテーラード・ジャケットに、衿とカフスと同じ布地のシーススカート。そして、ゴージャスでグラマラスな黒いカクテル・ハットは、本物のマラブー(アフリカコウノトリの柔らかい羽毛)でできている。そのほか、黒い手袋、黒いエナメルのハイヒール・パンプス。装身具には、白いスズラン型の手吹きガラスによるイヤリング、ゴールドのネックレス、ゴールドのカフスブレスレットがコーディネートされており、更に付属品として、ポール・ポワレのオリエンタル趣味を反映したシルバーの地にピンクの花が手彩色された扇が含まれている。

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ヘアースタイルはブラウンのボブ。メーキャップはブラウンのアイシャドーに艶やかなコーラル・リップスとネイルス。クールでグラマラスなレジン製ミドヴァニィの魅力が濃縮された美しい顔である。

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「ヘルメスの羽根」ミドヴァニィは、全部で25体制作され、それぞれ異なるメーキャップと、カラー・バリエーションのあるボブ・ヘアー、そして数種類の布地のバリエーションがあるカクテル・スーツを纏っていた。

因みに、今回ご紹介の「ヘルメスの羽根」ミドヴァニィは、No.10
一点ものの布地を用いて作られたカクテル・スーツを着ており、25体の中でも、とりわけ希少価値の高い、まさにパリジャン・オートクチュールを纏う極めてファッション性に優れた逸品と言える。
彼女の美しいイメージが伝われば幸いです。

人形本体はレジン製
1993年制作

◎本作品は、現在、入手可能です。ご興味ある方は、管理人までご連絡ください。

Photo (c) Sumiko Watanabe

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ミドヴァニィに関する公式サイトは以下のものです。

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2016年08月15日

サイバー・セクシャル・ミドヴァニィ「アウト・オブ・ザ・ブルー」 CYBER SEXUAL MDVANII "OUT OF THE BLUE"

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青い、青い、吸い込まれるように深いコバルトブルーの空。金色に塗られたボディを輝かせ、スカイダイビングしているように見えるミドヴァニィ。彼女の足元には、ショッキングピンクの絞り染めのイブニングドレスが置かれている。それは、まるでセミの抜け殻のようにも見え、美しいドレスを脱ぎ捨て、ファッションドールという殻から脱皮し、新しいステージへ向かうミドヴァニィのスピリットを象徴しているかのようだ。

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この鮮烈なイメージと象徴性に満ちたミドヴァニィは、サイバー・セクシャル・ミドヴァニィ「アウト・オブ・ザ・ブルー」と題され、"Mdvanii ceci n'est pas une poupee" (ミドヴァニィ、これは人形ではない)というパラフレーズと共に、2007年に発表された7体の作品のひとつである。

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彼女は、鮮烈なブルーの合成素材が敷き詰められ、不揃いな石のパターンが表現されたリノリウム板の扉が付いた木製の箱に、胸から下を金色に塗られたヌード姿で首に赤いリボンを結び、黒いコードによって吊り下げられている。そして足元に置かれたドレスを着せることはできない。この独特の審美的表現は、隠喩における願望の隠された目的(それにより、結局はフラストレーションが起こされる)を暗示しているのでは、という見方もできるであろう。
さまざまな解釈が可能であるが、作者であるビリーボーイとララの創作への新しい挑戦を象徴していることだけは間違いない。

因みに、私は、日本へ上陸したばかりの彼女たち7体が並んだ姿を見たとき、プレアデスの星々になったアトラスの7姉妹(ギリシャ神話)を思い浮かべたものだった。

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何はともあれ、非常に悩ましい作品である。そして無条件に美しい美の女神だ。
「私は人形ではない」と言う、このパワフルで魅惑的なミドヴァニイの少女のような顔、その切れ長の目は一体どこへ向けられているのだろうか?

2007年制作
人形本体はレジン製
7体限定制作されたうち、現在5体の在庫があります。ご興味ある方には情報を送りいたしますので、管理人までご連絡ください。

Photo(c) Sumiko Watanabe

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2016年05月14日

「オランジュリのカクテル」イーディ "Coqueterre a l'Orangerie" Edie

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モネの「水蓮」をはじめ、ルノワール、セザンヌなど印象派の絵画コレクションで有名なパリ・チュイルリー公園の中にあるオランジュリ美術館。この「オランジュリ」という名を冠したイーディ(ミドヴァニィの妹)作品が、今回ご紹介するものである。
作者ビリーボーイによれば、オランジュリ美術館で開催される展覧会プレビューのカクテルパーティーに多くのセレブと共に招かれたイーディの姿を表したという。

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彼女がまとう飛び切りのカクテルスーツは、1910年代のポール・ポワレ風の金と黒のラメ地のドレス(ローウエストの切り替えに、トップはオレンジ色のシルク)とお揃いのラメ地で作られたシャネル・スタイルのジャケットに、オレンジ色の羽毛のトリムが付いたカクテルハット。そしてオレンジ色のストッキングにプラットホーム・シューズを履いている。装身具は、金・黒・オレンジ色のビーズのイヤリングとネックレス。更に、ゴールドのカフス・ブレスレットがコーディネートされている。そのほか、彼女の持ち物として、ドレスとお揃いのラメ地でできたチェーン付きのショルダーバッグとカクテルグラスが用意されていた。
まさにフレンチ・ヴォーグから抜け出してきたようなカッコ良さだ!

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なお、彼女のホワイトヘアーはモンゴリアン・ラムの毛によるものであり、メークはミステリアスなブルーのアイシャドーにオレンジ・ベージュのリップス。
非常に美しい、凄みさえ感じさせる顔からは、ティーンエイジ・ガールとは思えぬ貴婦人のような雰囲気と妖気が漂う。
極めて高いファッション性が特徴のポーセレン製イーディの逸品である。

因みに「コケッテール」とは、「カクテル」と「コケット(色っぽい女)」を掛けたビリーボーイの造語。彼は、こういう遊びが得意だ。

1997年制作
人形本体は、フランスのセーブル窯で焼成されたポーセレン製。

Photo (C) Sumiko Watanabe

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2016年03月26日

「グルービー・チック」ミドヴァニィ "Groovy Chick" Mdvanii

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春の息吹を感じさせるようなフレッシュでクールなミドヴァニィ。
当作品は、1996年に発表された「グルービー・チック」"Grovy Chick" と命名されたものである。それまでのパリジャン・シックな彼女のイメージを超えた非常に大胆でグルービーな、1970年代ファッションを想起させるようなスタイルを持っていた。

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彼女が着ているのは、美しいボディ・ラインを引き立てるジャストフィットのファブなベルボトム。ジャンプスーツ。アクアブルーの地にポップな図柄がプリントされた麻製であり、総裏付き。そして、黒い革製ベルトと黒いハイヒール・パンプス。装身具は、パールとビーズを組み合わせたイヤリングと、ブルー、ネイビー、ホワイトのビーズでできたネックレス。ブルーの瞳と呼応していて何ともチャーミングだ。

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そして見どころの一つは、髪型。グレーのベリー・ショートのモールドヘアーの上にプラチナブロンドの人毛を用いたフリップ・ヘアーのウィッグを被っている。これは、パリ美容界の大御所であった故アレクサンドル・ド・パリによってスタイリングされたものだ。

メーキャップは、グレーのアイシャドーにつややかなレッド・リップスとネイルス。グラマラスで完成度も高く、たとえ様もなく美しい。髪型、衣装とのカラーコンビネーションも見事である。

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そして付属品には、シルバーのチェーンが付いたアクアブルーのショルダーバッグと "DOLLS JUST WANNA HAVE FUN!" というメッセージが書かれたプラカードが含まれていた。
因みに、この「グルービー・チック」と題されたミドヴァニィは25体制作され、それぞれ一点ものも髪型とメーキャップが施され、更にプラカードのメッセージも異なっていた。例えば、
"I'M FABUROUS SO WHAT?"
"A SEXY GIRL IS NO BIMBO"
"CHEAP EARRINGS ARE GIRL'S WORST FREINDS"
なかなか洒落ている!
なお、ご参考まで、タイトルの "Chick" とは "Girl" のスラングである。

何はともあれ、春の香り満載の「グルービー・チック」ミドヴァニイのイメージをお楽しみいただければ幸いです。

1996年制作
人形本体は、フランスのセーブル窯で焼成されたポーセレン製。

Photo(C) Sumiko Watanabe


お知らせ
来たる4月2日(土)に、恒例のミドヴァニィ・メール・オークションを開催いたします。
今回ご紹介の「グルービー・チック」ミドヴァニィを含む19点が出品され、大変貴重で価値ある作品をラッキー価格で入手できる絶好のチャンスでもあります。
ご興味ある方には、オークション・カタログをお送りいたしますので、当ブログ管理人、又は下記までご連絡ください。

Email: sumikowatanabe@lime.ocn.ne.jp



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2016年01月10日

ビリーボーイのインタビュー記事 An Interview with BillyBoy*

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オートクチュール・アクセサリーのコレクター、そしてシュールなアクセサリーのクリエーターとしてのビリーボーイへの非常に長いインタビュー記事がネット上に公開されている。
大変興味深い内容。魅惑的で豊富な画像も大いに楽しめる。
ぜひご覧ください。↓

http://sararacouture.com/jewelry-according-to-billyboy-an-interview-with-the-avid-collector-of-haute-couture-accessories-and-creator-of-surreal-bijoux/

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2016年01月01日

HAPPY NEW YEAR 2016 謹賀新年

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       明けましておめでとうございます。

写真の作品は、ポーセレン製のディー。ローズピンクのシルクサテンのフィッシュテール・イブニングドレスに、ゴールド・ラメ地にブラックの模様が織り込まれたポール・ポワレのファブリックを用いたロングストールをまとっている。メークもジュエリーもゴールドを基調にしたゴージャスなもの。作者ビリーボーイが所蔵している極めて貴重なディーの逸品である。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2016年元旦
SW JAPAN 渡辺純子

Photo(C) BillyBoy*

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2015年12月12日

「アラビアのロレンス」ゼドリック "Lawrence d'Arabie" Zhdrick

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「タフでハンサム、肉体的唯美主義と精神性が結合した男性たち。過去の概念による差別や偏見を無視し、愛と平和、創造性、そして美を尊重する男性像」と高らかに創作コンセプトを掲げて生み出されたのが、ビリーボーイ BillyBoy* の男性人形たちであった。彼らがミドヴァニィ Mdvanii の世界に登場したのは1992年。白人のロギィ・ロギィ Rhogit-Rhgit と双子の弟ティームキー Tiimky そして黒人のゼドリック Zhdrick であった。

          ↓の写真は、男性人形の創作コンセプトを示した小冊子。
          Rhogit-Rhogit  brochure.jpg zhdrick in brochure.jpg

彼らは身長約27cm。レジン製。解剖学的に正確さを目指した男性ボディーを持ち、当時、世界で最もセクシーな男性人形と呼ばれ、センセーションを巻き起こした。因みに、ロギィ・ロギィはアーティスとであると同時に水兵であり、ミドヴァニイの恋人。ティームキーは生物学者。そしてゼドリックは黒人美女ディーの弟でありミュージシャン。全員がバイセクシャルという設定であった。

その後、1995年から1997年にかけて、彼らには更なる品質と芸術性の向上が図られ、その身体はフランスが誇る名窯セーブル窯で焼成されたポーセレンによるものとなって生まれ変わった。彼らの身長はレジン時代に比べ少し伸び、28.5cmとなり、その分、足が長い。又、首は左右に回るだけでなく、あらゆる角度に傾けられ、手足のジョイントも改良が加えられ、よりスムーズにポーズが取れるようになったのが特徴だ。又、ボディー・スタイルも更にリアリティーが追及され、セクシーさに磨きがかけられた。

前置きが長くなったが、このポーセレン製の黒人男性ゼドリックの最高傑作と言えるのが、今回ご紹介する「アラビアのロレンス Lawrence d'Arabie」である。
本作品は、映画「アラビアのロレンス」(1962年イギリス映画。デヴィッド・リーン監督。ピーター・オトゥール主演)に敬意を表したもの。但し、本来、白人であるロレンスを、作者ビリーボーイは敢えて黒人のゼドリックによって表現し、又、ロレンスが乗るラクダを馬に置き換えている。

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ブラウンの肌に精悍さと優しさを併せ持つようなブラウンの目、官能的な厚い唇、このゼドリックが着ているのは、白い木綿のチュニックに18世紀のシルクの布地を使用した美しいベスト、白いウールのサウレルパンツ、ウエストには黒革製の編みベルトをしめている。そして頭部にはベージュのシルク製ヘッド・スカーフにヘッド・バンド。左耳にピアス、そして木製のビーズ・ネックレスと「チャーム・サッチェル」と呼ばれる胸に下げる小さな袋を首につけ、右手首にはトパーズ色のビーズでできたブレスレットをはめている。そして白いチュニックとサウレルパンツの下には、身体のラインをくっきり浮かび上がらせる黒いボディー・レオタード。ゼドリックの肉体美を際立たせる何とも悩ましいスタイルである。そしてグレーのスエード製ブーツ。

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この他、付属品として、アフリカ人アーティストの作である革張りの馬、乗馬用のムチ、革製の大きなバッグ、18世紀の布地を用いた敷物が含まれる。そして、この作品「アラビアのロレンス」は、赤にゴールドの唐草模様がプリントされた亜麻布にくるまれ、エキゾティックな手編みのカゴに入れられていた。

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心憎い演出が満載された非常に存在感のあるポーセレン製ゼドリックの究極の作品と言って過言ではなく、作者ビリーボーイの男性人形創作への並々ならぬ情熱とこだわりが伝わってくる。
当時、同じテーマで5体制作(全て一点ものの顔と衣装を持つ)され、現在ここにご紹介した1体のみ入手可能である。

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1997年制作
販売可能品

Photo (C) Sumiko Watanabe

Xmas セールのお知らせ

今回ご紹介した「アラビアのロレンス」ゼドリックを含むミドヴァニィの世界の男性人形たちを、12月19日(土)から、スペシャル・プレゼント付き、超お得なプライスにて販売いたします。
ご興味お有りの方には、カタログをお送りいたしますので、下記までご連絡ください。

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2015年10月01日

ベネディクト「ジュー・ド・ポーム」 Benedict, "Jeau de Paume"

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前回に引き続き、18世紀末フランスのファッション風俗として知られる「アンクロワイアーブル」をモチーフにしたビリーボーイの木製男性人形ベネディクト。本作品は、「ジュー・ド・ポーム」と名付けられた衣装を身に着けたものである。

因みに「ジュー・ド・ポーム」の意味であるが、手のひら又はラケットでするテニスの一種のことであり、フランス史に於いては、1789年6月29日第3階級議員たちが室内ジュー・ド・ポーム場に集まり、憲法制定まで解散しないことを誓ったというエピソードが伝えられている。

このベネディクトが着ているのも典型的なアンクロワイアーブル・ファッションであり、細身のシルエットが美しい。

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高い衿の付いた白いシルクサテンに黒い縞が入ったシャツを着こみ、パールのピンが付いた18世紀のバティスト(薄手木綿)のスカーフ、ビーズ刺繍が施されたブラウンのウールのジレ、白いシルクサテンのキュロットにカラフルはハイソックス、青いタッセルが付いた黒い革製のロングブーツを履いている。その上には、黒いベルベットの衿とカフスが付いた黒いシルクサテンのルダンゴトをまとい、黒いシルクハットを被って、ルビー風の指輪にモノクル、そして頭部に金の飾りが付いた木製のステッキを持っている。更に、遊び人であることを象徴するような青紫色のアンティーク・ガラスでできたダイスが2個とパイプが付属品として含まれていた。

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少しカールさせたプラチナブロンドのロングヘアーを後ろへなびかせ、スカーフで口まで覆うというアンクロワイアーブル・スタイルが見事に反映された何とも誘惑的な作品である。癖のある怪しい目つきも見逃せない。

1994年制作
個人蔵

Photo (c) Sumiko Watanabe

NEWS
アンディ・ウォーホル Andy Warhol がビリーボーイ BillyBoy* の為に描いたバービー Barbie の肖像に関するホットな記事が本日BBCより発表されました。


http://www.bbc.com/news/magazine-34407991

又、下記のリンクにも、BBCラジオによるビリーボーイのインタビューが含まれています。

http://www.bbc.co.uk/programmes/p0333ln9

http://www.bbc.co.uk/programmes/p032x5d8


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2015年09月24日

ビリーボーイの木製男性人形「ベネディクト」 Benedict, une poupee Incroyable

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今から10年以上前、1994年に発表されたビリーボーイの男性人形「ベネディクト」。彼はフランス革命後の18世紀末のファッション風俗「アンクロワイアーブル」を表現したものであり、ビリーボーイのドール・クリエーションの中でも最もユニークで希少価値が高いと言われている。その純粋無垢な愛らしさと温かみは他に類を見ない。

ところで、「アンクロワイアーブルって何だ?」と思われる方も多いことだろう。
「アンクロワイアーブル Incroyable」とは、フランスで1795年から1799年までの執政官時代と呼ばれた期間、人目を引く奇抜なファッションにより自己表現し、時代に新風を吹き込み、新しい文化の形成に大きな役割を果たした若者グループである。知的不良青年、日本で言えば「傾奇者」と言ったイメージであり、現代のパンク・ファッションに通じるものがある。
彼らは、ビート風に伸ばした髪を後ろへカールさせ、極端に高い衿のシャツに派手なジレ(ベスト)を着こみ、膝のところをボタンで留めたキュロットを穿き、大きく折り返った上衿の付いたルダンゴト(コート)に、首の周りには顎から口まで覆う(口を見せないのが粋とされた)並外れて大きなクラヴェット(ネクタイまたはスカーフ)を巻き、大きな二角帽を被り、沢山のブルロック(時計の鎖や腕輪に付ける小さな鎖)や2個の懐中時計を身に着けていたことなどが伝えられている。又、細身のステッキを無造作に弄ぶことが粋とされていた。こうした彼らのスタイルは、当時の常識から見れば常軌を逸したものであり、社会の価値観に対する挑戦であった。そしてそれは、1920年代や1960年代のファッション革命、その後のパンク・ファッションを先取りするものでもあった。

このアンクロワイアーブルを表現した木製の人形「ベネディクト」。彼の身長は約30cm。18世紀から19世紀にかけてヨーロッパで作られたウッドン・ドールのスタイルからインスパイアーされたボディ・スタイルを持ち、肩、肘、足の付け根、膝に釘で留められた関節がある。
又、髪には人毛が用いられ、パリ美容界の大御所であった故アレクサンドル・ド・パリのアドバイスによってアンクロワイアーブルの髪型が忠実に表現されている。
そして衣装には、18世紀から20世紀初頭の貴重なファブリックが使用され、「プレ・カテラン」、「18フローレアル」、「ジュー・ド・ポーム」といったフランス革命に因んだ名を持つ3つのスタイルが作られた。
作品は30体制作され、25体が日本へ上陸した。

今回ご紹介するベネディクトは「18フローレアル」と命名された衣装を着た作品。
因みに「18フローレアル」とは、仏史・共和歴花月(4月20日または21日から5月19日または20日)の18日を意味する。

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高い衿の付いた白いシルクサテンのシャツに、パールのピンが付いた18世紀のバティスト(薄手木綿)のスカーフを巻き、ビーズ刺繍が施されたブルーグレーの地に花柄のシルクのジレ、白いシルクサテンのキュロットにカラフルなハイソックス、そして青いタッセルが付いた黒いスエード製のロングブーツを履いている。

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そして大きな黒いベルベットの衿が付いたコバルトブルーのルダンゴト(コート)、更に仕上げはコカルドと呼ばれる赤・青・白の花形徽章が付いた黒い大きな二角帽。小物はトパーズ風の指輪とモノクル。そして、金の飾りが頭についた木製のステッキ。この他、付属品として、遊び人であることを示すアンティーク・ガラスでできたダイスが2個とパイプが含まれていた。

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常軌を逸したアンクロワイアーブルの典型的なファッションが見事に反映されている。そして、この上なく愛らしい顔!それがこの作品の魅力を増幅させているように思う。

1994年制作
販売可能(ご興味ある方は管理人までお問い合わせください)

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2015年06月16日

黒人美女ディーの日曜日 Semaine de Dheei "Dimanche"

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黒ヒョウを想わせるような鋭いまなざしに、ルビーレッドのセクシーな唇、鮮やかなオレンジ色のヘアー。圧倒的な存在感を示す黒人トップモデルのディー。
前回登場した「真夜中のランデブー」というテーマを持つミドヴァニイと同年1995年に制作されたポーセレン製ディーの最初のシリーズ作品のひとつであり、彼女の1週間のライフスタイルをファッションと共に表したものだ。「月曜日」から「日曜日」まで各1体制作され、本作品は、その「日曜日」である。

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彼女が着ているのは、黒いシルクサテンのトップにシルバーグレーのシルクタフタのロングスカート。ウエストにピンクのシルクオーガンジーのロングストールをサッシュ風に巻きつけている。黒い肌とオレンジ色のヘアーを効果的に見せる絶妙なカラーハーモニーが実に美しい!そしてゴールドのハイヒールパンプス、装身具は凝ったビーズのネックレスとガンメタルのカフス・ブレスレットがコーディネートされている。又、付属品にはゴールドのパース、香水瓶、手描き模様が入ったシルバーメタルの扇と木製のマンドリンが含まれていた。

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黒人美女ディーは日曜日にマンドリンを奏で、真夜中になるとガールフレンドのミドヴァニィとの密会に出掛けるようだ。

オレンジ色のヘアーを持つディーには魅惑的な作品が多いが、とりわけ本作品は見る者に衝撃的な印象を与える絶品!加えて、ポーセレン製最初のディーという特別な意味を持つ非常に貴重な作品である。

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1995年制作
人形本体はフランスのセーブル窯で焼成されたポーセレン製
個人蔵

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2015年05月05日

「真夜中のランデブー」ミドヴァニィ "Redez-vous a Minuit" Mdvanii

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深海魚を想わせるような妖しい美しさ!色白の肌にブロンド、青い瞳、そして眉と目の間が広く平面的な顔立ちが、西洋と東洋をミックスしたような不思議な魅力を醸し出している。
彼女は、1995年に発表されたポーセレン製のミドヴァニイ。「真夜中のランデブー」といタイトルが付けられていた。

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彼女が着ているのは、黄色のトリムが付いたコバルトブルーのシルクサテンのイブニングガウン。その下には、チェリーレッドのローシルク製半袖シースドレス、そして黒いエナメルのハイヒールパンプスを履いている。装身具は、イエローの大きなラインストーンがアクセントに付けられた黒いビーズのネックレスだ。この他、付属品には、黄色の地に紫色の手描き模様が入ったシルバーメタル製の扇と香水瓶、ハンドバッグ等が含まれていた。

               rendez vous 5.jpg

真夜中の夜会に出掛けるミドヴァニィのファッションを表したものであるが、さて、気になるのは、そのお相手である。作者ビリーボーイの説明によれば、相方は黒人美女のディー。ミドヴァニィの世界は1990年の当初から「LGBT」であった。

                  rendez vous 4 bis.jpg

1995年制作
人形本体は、フランスのセーブル窯で焼成されたポーセレン製。
販売可能:お問い合わせください。


お知らせ

ミドヴァニィ・メール・オークションを5月30日(土)に開催いたします。
今回ご紹介の「真夜中のランデブー」はじめ、初期レジン製からポーセレン製までの作品(ミドヴァニィ、ディー、イーディ、衣装等)が出品されます。
ご希望の方には、オークション・カタログをお送りしますので、下記(又は当ブログ管理人)までご連絡ください。

Email: sumikowatanabe@lime.ocn.ne.jp


Photo (C) Sumiko Watanabe

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http://www.fondationtanagra.com

ミドヴァニィの公式サイトは以下のものです。

http://www.mdvanii.ch/en/mdvanii/

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2015年03月06日

「エコリエール」イーディ "Ecoliere" Edie

ecoliere 1.jpg

透き通るような白い肌にブルーの瞳と美しいホワイトヘアー。妖精さながらの美少女だ。
絶妙なコントラストを利かせた真っ赤なヘチマ衿のついたタータンチェックのドレスにお揃いの帽子を被っている彼女は、ミドヴァニイの妹でグルービーなティーンエイジガール、イーディである。

本作品は「エコリエール」(女子学生)と題された1997年発表のポーセレン製一点もの特別作品。フランスの女子学生のイメージを表したものだ。

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パリの学生街カルチエラタンを闊歩する一際目を引くチャーミングな女子学生のイーディ。その美しいホワイトヘアーはモンゴリアン・ラム(子羊)の毛でできている。白い衿と赤い袖のついたタータンチェックのミニドレス。その上に、赤いヘチマ衿がついたドレスとお揃いのタータンチェックのベストを着ている。同じくお揃いのベレー帽。白いストッキングに黒と赤のプラットホーム・シューズ。学生らしいベージュの革製ナップサックもカワイイ。ジュエリーはシックなパールのイヤリングとゴールドのブレスレット。お洒落なパリジェンヌのセンスがいたるところに反映されている。

この他付属品として、タータンチェックの布で作られたテディベア、木製のおもちゃの椅子、赤い傘、銅製のティーポットとティーカップ、そしてバイオリンが含まれていた。

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ナチュラルメークの美しい顔はこのうえなく誘惑的で悩ましい。
また、子羊を想わせる柔らかなホワイトヘアーのせいか、そして今年が未年(ひつじ年)のせいか、このイーディがヒツジの精霊にも見えてくる。

                ecolire 3.jpg

1997年制作
人形本体はフランスのセーブル窯で焼成されたポーセレン製
個人蔵

Photo (C) Sumiko Watanabe

ミドヴァニィに関する公式サイトは以下のものです。

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2015年01月01日

A HAPPY NEW YEAR 2015 "LUV"

LUV Tzulli.jpg

新年あけましておめでとうございます。

写真の黒人美少女は、1995年に発表されたポーセレン製ズゥーリィの一点もの作品「ズゥーリィの1週間」より「火曜日:ラブ」(Mardi "LUV" from LaSemaine de Tzulli 1995)
因みに"LUV" とは"LOVE"のスラング。

今年も皆様に"LUV"
どうぞよろしくお願いいたします。

SW JAPAN
渡辺純子

ミドヴァニィについての公式サイトは以下のものです。こちらもご参照ください。

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2014年12月07日

アールデコ・ファッションをまとう人形 ジビ「花火」 ZIBBI "Feu d'Artifice"

zibbi feu d' artifice 1.jpg

アールデコのファッション・プレートから抜け出てきたような、この魅惑的な人形。彼女の名は「ジビ ZIBBI」という。
ビリーボーイのドール・クリエーションの中でも、とりわけ制作数が少なく、伝説的なファッションドールと呼ばれているのが彼女。
1920年代のフランスのブドワール人形(女性の寝室や居間のソファ等に置く、大人のスタイルをしたファッショナブルな人形)の伝統的スタイルを受け継いだハイ・ファッションドールである。1994年に25体、そして1996年に27体制作された。

ジビの身長は約70cm。頭部、手、足が手仕上げのレジン製。胴体部分がキッド革(子ヤギの革)で作られている。
衣装には、ビアンキニ・フェリエ社のゴールドやシルバーのラメ地等を含む20世紀初頭からアールデコの時代までの貴重なファブリックが惜しげもなく用いられ、それらによるオートクチュール仕立てのドレスは、ポール・ポワレ、ジャンヌ・ランバン、マダム・パキャン、ジャン・パトゥー、ワース、スキャパレッリ等、1920年代の有名クチュリエの作品を喚起させる絶品揃い。又、ジュエリーには、1920年代のシャネル(グリポワ)のパールやビーズ等がふんだんに使われている。

今回、ご紹介するジビは1994年の初版のひとつで、「花火 Feu d' Artifice」という作品名を持つ。
彼女が着ている白黒のフリンジ・ドレスには肩から胸にかけて、フランスの有名刺繍作家であるキャロリーヌ・ルーセルによる鮮やかな刺繍が施されていて、このドレスの魅力を増幅させている。

                  zibbi feu d' artifice 4.jpg

その上には、ゴールド・ラメの裏地が付いた黒いシルクのケープ。そして頭部には羽根飾りの付いた黒いヘアーバンド。その正面には、シャネルのサインが刻まれたジュエリーが付いている。
装身具はパールのイヤリングとネックレス。

                 zibbi feu d'artifice 2.jpg zibbi feu d' artifice 3.jpg

そして付属品には、ピンクの煙草が6本入った黒いエナメルのシガレット・ケース、ゴールドの長いシガレット・ホルダー、灰皿、マルチーヌ・スタイルの図柄が描かれた銀色の扇、そしてシルバーのメタル製メガネが含まれていた。

               zibbi feu d' artifice 5.jpg

彼女のヘアーは、赤茶にシルバーのメッシュのスタイリッシュなショート・ボブ。そして赤色サンゴ色のリップスとネイルス。1920年代のエキセントリックでお洒落な女性像が表現されている。
そして、彼女の誘惑的な眼差しからは、どこか日本の浮世絵の美人に通じるものを感じるのだが・・・・・・。

このジビを含め、全てのジビ・ドールたちは、20世紀ファッションの輝ける時代、創造的革新性の豊かな1920〜1930年代アールデコの時代へのオマージュであると同時に、アーティスト、ビリーボーイの時代を超えた美へのこだわりと独特の感性が形になったものと言える。

因みに、下の写真は、1997年12月、名古屋パルコにて開催された「ジビのアールデコ・ファッション展」のパンフレット。展覧会は大成功を収めた。

                zibbi exhibition.jpg

ところで、このジビを含むビリーボーイのドール・クリエーション(ミドヴァニィ、ディー、イーディ、男性人形たち)のオークションを、来る12月20日(土)に開催します。ご興味ある方には、オークション・カタログをお送りしますので、当ブログ管理人までご連絡ください。

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ミドヴァニィの公式サイトは↓
 
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2014年10月19日

アンディ・ウォーホルが描いたバービーの肖像画 Barbie, Portrait of BillyBoy*

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故アンディ・ウォーホルが1980年代の初め、ビリーボーイの為に描いたバービーのポートレート。
この度、ロンドンのクリスティーズ(Christie's)のオークションに出品され、話題を呼んだ。因みにオークションが開催されたのは10月17日(金)。
その詳細とビリーボーイへのインタビュー記事が下記サイトでご覧になれる。

http://www.christies.com/auctions/post-war-and-contemporary-art-london-october-2014/billyboy/#interview-section

なお、トップの写真は、ビリーボーイによるバービーの本"Barbie HER LIFE & TIMES" (CROWN PUBLISHING, INC.)に掲載されたポートレートである。

更に下の画像は、1990年、パリの自宅におけるビリーボーイとバービーのポートレート。当時、ヴォーグ誌等いくつかの雑誌に掲載された。

               billyboy-1.jpg
BillyBoy* at home, place Adolphe Max, Paris 1990. GERMAN VOGUE. Artwork: (C) The Andy Warhol Foundation for the Visual ARTs Inc. / Artist Rights Society (ARS), New York / DACS, London 2014.

又、下の画像は1990年代初め、ビリーボーイ宅にての筆者。

                 Barbie by Warholl 3.jpg
Sumiko Watanabe at BillyBoy*'s home 1993 photo by BillyBoy*

ウォーホルとビリーボーイの関係を物語るような、この美しいアート作品。果たしてオークションの結果は如何に?
★結果は、722,500ポンド(約1億3,000万円)で落札された。さすがウォーホルの作品である。

最後にビリーボーの近影↓

              BillyBoy Oct. 2014.jpg

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2014年09月19日

「ドミノ」ミドヴァニィ "Domino" Mdvanii

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秋祭りの季節である。
お祭りと言えば、ピンク色の大きな綿あめ。独特の甘く香ばしい香りがノスタルジックな思い出をよみがえらせる。

1992年に発表された「ドミノ Domino」と呼ばれた美しいミドヴァニィは、まさにピンク色の綿あめを想わせるビーハイブヘアーが特徴だった。それは、パリ美容界の大御所であった故アレクサンドル・ド・パリのデザインによるものであり、1960年代のムードが漂う。

                     domino 1.jpg

彼女が着ているのは、白地に黒い花柄プリントのシースドレス。腰の部分にピンクのリボンがアクセントに付けられ、小粋な黒いシルク・ジョーゼットのスカーフを首に巻いている。そして白いストッキングと手袋、黒いハイヒール・パンプス。装身具は、ゴールドと白のビーズによるイヤリングとゴールドのチェーンにハート型のペンダントトップがつけられたネックレス。濃いコーラル色の口紅がグラマラスなムードを増幅させている。

「ドミノ」と名付けられたミドヴァニィ作品には、数種類のバリエーションがあった。1992年の"Exclusive Representatives"カタログには、以下の通り3体の「ドミノ」ミドヴァニィの写真が掲載されている。

                domino 6.jpg

黒いビーハイブヘアーに白いシースドレス、同じく黒いビーハイブヘアーに黒地に白いプリントのシースドレス、そして白いビーハイブヘアーに黒いシースドレスのミドヴァニイたちだ。更に、当時、私が日本に上陸させたのが、上述のピンクのビーハイブヘアーのものや又、赤毛のビーハイブヘアー等もあった。

カタログの説明文の中で、ビリーボーイは彼女たちについて、"It's wildly glamorous......this look will topple her admires" 「それは、えらくグラマラスで、このルックは彼女のファンをよろめかせる」と述べていた。

                    domino 3.jpg

確かに、この「ドミノ」ミドヴァニィの魅惑と甘いピンク色の綿あめの誘惑に打ち勝てる人は多くないと思う。

レジン製
1992年
個人蔵

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2014年08月16日

「フレイム」ミドヴァニィ "Flame" Mdvanii

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燃え立つ様なファイアー・エンジン・レッドのシルクのドレスをまとう悪魔的な美女ミドヴァニィ。「フレイム Flame」と題され、1992年に発表された作品である。

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このお洒落なカクテルドレスの肩の部分には凝ったビーズ刺繍が施され、オーバースカートの様に見えるペプラムは取り外しができ、外すとバービーの1959年の有名なドレス「シース・センセーション」に似た感じ。そしてドレスとお揃いの粋なカクテルハット。ターコイズと赤いビーズ、そして羽根飾りが付いている。赤いドレスをより刺激的に見せるターコイズ色の手袋と黒いシルクストッキング、真っ赤なハイヒールというコーディネートが憎い。装身具には、赤とゴールドのビーズ・イヤリング、3蓮のパールのチョーカー、ピンクのラインストーンが嵌め込まれたゴールドのブレスレット。

                  flame 3.jpg

彼女のぴたっとしたブラック・ボブヘアーは、人毛製。パリ美容界の大御所であった故アレクサンドル・ド・パリのデザインであった。そして、メーキャップは、ブラウンのアイシャドーに真紅の口紅とマニキュア。
悪魔的なミドヴァニィの魅力が際立つ初期レジン製ミドヴァニィの逸品である。

                  flame 2.jpg

この「フレイム」ミドヴァニィを含む貴重な初期レジン製作品(1990年代のものばかり)が、14体揃ったミドヴァニィ・オークションを来る8月30日(土)夜に行います。
ご興味ある方には、オークション・カタログをお送りしますので、当ブログ管理人のメールアドレスをクリック(当ブログ画面左上)、または、下記アドレスまでご連絡ください。

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2014年07月07日

サン・ミッシェルで少しお腹が空いたイーディ "Petit creux a St. Michel" Edie

St.Michel 2.jpg

パリ左岸を象徴するエリア、カルチェ・ラタンの玄関口にあたるサン・ミッシェル広場。そこを起点に南へ走るのがサン・ミッシェル大通りだ。その先には古代ローマの遺跡が残るクリニュー中世美術館、そしてソルボンヌも近くにある。
ミドヴァニィの妹であり、グルービーなティーンエイジ・ガールとして登場した「イーディ」。彼女は東洋語を学ぶ学生という設定であった。ひょっとすると、ソルボンヌの東洋語学科だったのかも知れない。

今回ご紹介するイーディは、1995年秋に発表されたポーセレン製の一点もの作品で、「サン・ミッシェルで少しお腹が空いた」と題されていた。
デリケートな10代の少女のボディ・スタイル、手仕上げによるポーセレンのモールド・ヘアーの上にパリ美容界の大御所であった故アレクサンドル・ド・パリによってデザインされた人毛のウィッグを被っている。ヘアー・スタイル、メーキャップ共に1960年代のパリ・ファッションを反映していた。

             St.Michel 6.jpg

そして彼女が着ているAラインのミニドレスは、ピンクと白の「ヴィシー・チェック」と呼ばれるフランスの有名な布地によるものであり、因みに、女優のブリジット・バルドーが何度目かの結婚式に、この布地で作ったウエディング・ドレスを着たというエピソードもある。

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オフ・ホワイトのストッキングに、淡いコーラル・ピンクのローヒール・シューズ。装身具は、白いビーズのイヤリングと、白とピンクのビーズのネックレスとブレスレット。付属品には、花柄のハンドバッグと新聞、そしてフランクフルト入りのホットドッグとナプキン、デザートの洋ナシとナプキンが含まれていた。サン・ミッシェル大通りを歩いていて、少しお腹を空かせたイーディの為に、ビリーボーイが用意したものらしい。

             St.Michel 7.jpg

パリ左岸、カルチェ・ラタンの香りに包まれたイーディの逸品である。

1995年制作
人形本体は、フランス・セーブル窯で焼成されたポーセレン製
個人蔵

Photo (C) Sumiko Watanabe

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2014年05月27日

ビリーボーイとスキャパレッリのパスカリーヌ・パンドラ・ドール BillyBoy* and Pascaline Pandora doll at Schiaparelli

bb chez schiapareli 2.jpg

スキャパレッリの研究者としても知られるビリーボーイが、新しい本の執筆をほぼ終了したと伝えてきた。アメリカの大手出版社から今年中に出版される予定とのこと。
その本の中に収録されるであろう貴重な写真2点を、今回、当ブログにアップした。

1978年、ビリーボーイが17歳の時に、パリのバンドーム広場にあるスキャパレッリのブティックで撮った写真である。一緒に写っているのは、スキャパレッリのマスコットである「パスカリーヌ」と名付けられた有名なパンドラ・ドール。18世紀の画家の為の等身大の木製のポーズ人形だ。因みに、この「パスカリーヌ」には、「パスカル」という男性のパートナーもいる。
ビリーボーイは、自分の愛用のサングラスをパスカリーヌにかけ、彼女の首に手を回し、又、パスカリーヌは左手をビリーボーイの膝に乗せている。素敵なショットだ!

               bb chez schiaparelli 1.jpg

なお、ビリーボーイが着ている白いシャツであるが、バレンシャガ・オム・オートクチュールだそうだ。そして黒いマニキュアはこの当時からビリーボーイのトレードマークだった。

本が出版されたら、詳細をご紹介したいと思う。

Photo (c) Fondation Tanagra

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2014年05月18日

松山俊太郎さんの思い出とサイキック・インディアン・ドール Memory of Mr. Shuntaro Matsuyama and the Psychic Indian doll

psychic indian 5.jpg

インド学研究者であり、ハスの研究でも知られる松山俊太郎さんが、5月11日に他界された。83歳であった。
心よりご冥福をお祈りする。

彼は、知る人ぞ知る日本の碩学の一人であり、多くの教え子やファンがおられた。
実は、私も彼の教え子の一人であった。その昔、美学校でインドの「タントラ・アート」の講義を受けたことがある。グレーの髪を角刈りにし、着流しに雪駄履きというのが松山さんのトレード・マークだった。並外れた知性に加え、その粋なスタイルと圧倒的な存在感。私はシビレまくり、勝手に師と仰ぎ、お慕いしていた。
その後、いくつかの偶然と幸運が重なり、又、一時期、お住まいが近所だったこともあって、何回かご自宅に招いてくださったこともある。インドのアートや宇宙論、哲学だけでなく、小栗忠太郎や稲垣足穂、澁澤龍彦等を話題に大変楽しい時間を過ごさせていただいた。そして、何十年にも渡り、付かず離れずのお付き合いが続いていた。

その松山さんとの思い出は数えきれない程あるが、私が最も感動したのは、彼の料理の腕前。忘れもしない、ある年の5月のこと、ちょうど今頃だったと思う。彼から「美味しいものを作ったので夕方遊びに来なさい。」と言われ、仕事の帰りにお伺いすると、何と、タケノコご飯が待っていた!詳しいことは割愛させていただくが、その味は生涯忘れることができない。

そして、もうひとつ、忘れ難い思い出が、このブログのテーマであるビリーボーイの人形と松山さんのことである。
意外と思われるかもしれないが、松山さんはビリーボーイの人形に少なからず興味を示してくださっていた。そして、当然と言えば当然かもしれないが、1992年に発表されたインドの神秘と第六感を象徴した「サイキック・インディアン」に特別な関心を寄せてくださった。私はとても嬉しく思い、日本に上陸させた25体の作品の中から、とりわけ美しい黒髪の1体を選び、彼に贈呈。松山さんの個人コレクションとして所有していただきたいとお願いした。松山さんも喜んでくださり、以来、そのサイキック・インディアンは20年以上、松山さんの人生に寄り添って来たはずである。ちょっと、うらやましい!
その人形を、ここで紹介することはできないが、その代わりに、彼女の仲間たちの写真をトップに掲載した。
因みに、下の写真は、サイキック・インディアン専用のオリジナル・ボックス・カバーである。

          pschin indian box 2.jpg pschic indian box 1.jpg

ビリーボーイの人形を、松山さんに長年所有していただけたことをとても幸せに思う。

松山俊太郎さん、良い思い出を沢山残してくださり、本当に有難うございました。

そして、松山さんを長年支え続けて来られ、葬儀委員長を務められた丹羽蒼一郎さんに深く感謝いたします。

合掌

渡辺純子

Photo (c) Sumiko Watanabe

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2014年04月25日

「パルムの僧院」ミドヴァニィ "La Chartreuse de Parme" Mdvanii

Parm 1.jpg

フランスの作家スタンダールの代表作の小説「パルムの僧院」(1839年出版)と言えば、情熱的なイタリアの青年貴族ファブリスの波乱万丈な半生を描いた傑作として知られている。この有名な小説の名を冠したミドヴァニィ Mdvanii。おそらく、作者のビリーボーイ BillyBoy* は、小説の主人公ファブリスが愛した娘クレリアからインスピレーションを得て、このミドヴァニィを制作したと思われる。

彼女は1998年に発表されたレジン製プロトタイプ・ミドヴァニィ(10体限定制作)のひとつであった。珍しいロージー・トーン(普通の肌色よりややローズ色がかった)肌色をしているのが特徴であり、1940年代風の前髪が表現されたブラウン・モヘアの髪。青い花と金色のトリムが飾られたヘアーネット式の帽子を被っている。

    Parm 3.jpg

彼女が纏っているのは、藤の花を想わせるようなロマンティックなロングドレス。ネックラインから肩にかけてミンク風の黒いベルベットのトリムが付けられたブルーグレーのシルク・シャンタンのロングドレスに、裾の黒と白の花のトリムが付いた藤色のオーバースカートが重ねられている。ウエストには、大きな金色のバックルが付いた金色のリボンでできたベルト。そして黒いストッキングと下着に、メタル製の黒いハイヒール・パンプスを履いている。装身具は、金色のループ・イヤリングに金の十字架ネックレスと金色のバングル、そして黒いストロー製のハンドバッグ。
又、彼女のメーキャップと口紅は「マンドリン」と名付けられ、鮮やかな水色のアイシャドーに強く描かれた黒いアイライン、ブライト・ローズの口紅。そしてネイルスには、「モンテ・クリスト伯」と命名されたブライトレッドが使われている。

文学的な味わいのある非常にユニークな美しい作品だ。生き生きして、明るく、そして理知的なムードを併せ持つ顔が、たまらなく悩ましい。もう一度、「パルムの僧院」を読んでみたくなるのは私だけではないかもしれない。

1998年制作 レジン製 個人蔵

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